高大硬式野球部監督対談・野球を通じた人間形成と四大綱の伝承
開校100周年の昨年は決勝で敗れたが、今年7年ぶりに愛知県大会で優勝し、甲子園に出場(通算100試合を達成)した中京大中京高校、開学70周年の年に全日本大学野球選手権大会(神宮)で42年ぶりにベスト8進出を果たした中京大学。
そんなメモリアルな年が続くプレッシャーの中、結果を残し続けている中京大中京高校野球部の高橋源一郎監督と中京大学野球部の半田卓也監督の対談インタビューを9月25日に行った。
――指導する際に心掛けていることはありますか?
半田監督: 「野球は失敗が多いスポーツです。結果に対してどうこう言うのではなく、そこまでのプロセスやミスした後の取り組み・ふるまいを大切にしています。野球だけでなく、日常生活においても同じですね。」
高橋監督: 「試合に出られなくてもチームになにが出来るかを考えられる選手を養成したいと考えています。そういったところが野球を辞めた後の人生にも活きてくると思います。」
両監督とも難しい質問だなと笑みを浮かべながらも、選手たちを第一に考え、野球以外の日常でも大切なことも野球を通して伝えようとしている。「野球は失敗が多いスポーツ」という言葉は共通して話していたことから、野球の難しさがうかがえる。
――指導者としてのお互いの印象は?
半田監督:「高橋監督は(半田監督の)大学時代のコーチ。そのころから変わらず一言で終わるのではなく、きちんと言葉をかけてとにかく周りを明るくしてやる気にさせ、背中を押してくれます。」
高橋監督:「非常に緻密で時代や状況の変化にアジャストしている印象があります。細部にも目が行く。(選手時代は)アグレッシブなプレー、スイングが強く本番に強い。試合になると気持ちがぐっと出ていましたね。」
選手とコーチだった関係から、お互い指導者となり印象を語り合うのは少し照れくささがありながらも指導者の立場から見たお互いの印象を赤裸々に語ってくれた。
――選手が入れ替わる中で強いチームを作り続けていくために取り組んでいることは何ですか?
半田監督:「チーム作りの中で変えてはいけないものと変えなくてはならないものがある。変えてはいけないもの(チームの土台)は梅村学園の四大綱を大切にしていて取り組み続けています。世の中の流れに敏感になり、常にアンテナを張って変化を恐れずにチャレンジしていくことも大切にしています。」
高橋監督:「同じですね。(笑)勝つことが目標かもしれないが、野球をしていくなかで建学の精神を大切にし、行動に移しながら人間形成をしていくことを選手に求め、自分自身が何をできるかを考え、チャレンジしていくことを後押ししています。」
――「すごい!」と思った教え子はいますか?
半田監督:「伊藤稜選手(阪神タイガース、スポーツ科学部2021年度卒)と澤井廉選手(東京ヤクルトスワローズ、スポーツ科学部2022年度卒)がとにかく一つのことにここまでやるか!と思うくらいこだわっていましたね。」
高橋監督:「飛距離は鵜飼航丞選手(中日ドラゴンズ、中京大中京高校2017年度卒)が一番ですね。ボールの精度・速さは高橋宏斗選手(中日ドラゴンズ、中京大中京高校2020年度卒)。一つのことにこだわる探求心はやはり澤井廉選手が一番印象に残っていますね」。
――来年の抱負を教えてください
半田監督:「日本一になることと、なにより長く野球を続けられる選手たちをしっかり育成していきたいと考えています。また、エースの髙木快大選手(スポーツ科学部3年)を筆頭にドラフト候補が5人ほどいます。これらの選手たちをしっかり次のステージに進ませたいです。」
高橋監督:「秋の県大会を準優勝し東海大会に進出したので、そこでセンバツの切符をつかみ取りたいです。今年の甲子園にメンバー入りしていた選手や、アルプス席で観戦・応援していた選手たちは全国レベルを実感していると思います。そんな彼らとしっかりと経験を積み上げて、甲子園で優勝したいです。」
両監督とも勝つことと選手を育てることの両立をしながら高いレベルの目標を語ってくれた。今後も全国の強敵たち相手に戦う大学、高校両野球部から目が離せない。